愛日 あいじつ 畏日 いじつ

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早稲田大学図書館古典籍総合データベース

春秋経伝集解』左氏伝 文公七年 杜預

あいじつ(愛日)

愛日は冬の日なり、左伝文公七年の条に「趙衰冬日之日也」とあり、注に冬日可愛夏日可畏と見ゆるに起源す、又駱宝王の詩に温輝凌愛日壮気驚寒水とあり、宋璟梅花賦に愛日烘晴明蟾凍夜とあり、皆愛日を冬の日の意に用いたるなり、画題としては愛日閑居、竹林愛日など用いらる。

 

 『画題辞典』斎藤隆

 

 

あいじつ【愛日】
① 〔左氏伝 文公七年注「冬日可レ愛、夏日可レ畏」〕 冬の日の光。 ⇔ 畏日いじつ
② 〔法言 孝至「孝子愛レ日」〕 日時を惜しむこと。また、日時を惜しんで父母に孝養を尽くすこと。
 

愛日とは冬の愛すべき暖かい太陽のこと

畏日とは夏の恐ろしい暑さの太陽のこと

春秋時代、魯の文公七年(B.C.620年)、狄(テキ)の部族が魯の西部に侵入しました。
文公が晋に訴えると、晋の趙宣子(趙盾:チョウトン)は賈季(カキ)に命じて狄の鄷舒(ホウジョ)を叱責させました。

  鄷舒、賈季に問ひて曰く、
     鄷舒が賈季に問いました

  趙衰(チョウシ)と趙盾と孰れか賢なると。
     父の趙衰と子の趙盾とはどちらが優れた人物ですかと。

  賈季對へて曰く
     賈季が答えました。

  趙衰は冬日の日(杜預注:冬日は愛すべく)、
     趙衰は冬の太陽と言ってよかろう。

  趙盾は夏日の日(杜預注:夏日は畏るべし)。
     趙盾は夏の太陽と言ってよかろう。

 

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今日の四字熟語No.719【冬日可愛】とうじつあいすべし

孔子が作ったとされる歴史書が『春秋』

その注釈書が『春秋左氏伝』

『春秋左氏伝』の注釈書が『春秋経伝集解』(しゅんじゅうけいでんしっかい)

どよ【杜預】222‐284
中国,西晋の学者,政治家。字は元凱。杜陵(陝西省西安の南東)の人。若くして学問を好み,群書を博覧した彼は,ことに父祖伝来の家学,《春秋左氏伝》の研究に打ちこみ,28歳のとき父の杜恕(とじよ)(198‐252)が権力者の司馬懿(しばい)ににらまれて爵位剝奪のうえ流刑に処せられて以後の苦節の8年間に,その新しい左伝研究の基礎を作ったと思われる。257年(甘露2),36歳で初めて官界に出仕してからは,律令の制定,官吏の勤務評定法の作成,華北西部の異民族の反乱平定をはじめ,大蔵大臣の役をつとめては有効な経済政策を実施して成功した

 

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