牛 うし 牧牛図 ぼくぎゅうず 牧童 ぼくどう 十牛図 じゅうぎゅうず

www.instagram.com

駿牛図巻断簡

牛車は主に貴族の用いるものであり、それを牽く牛も姿形、歩き方の優れた名牛が貴ばれた。それらを牛飼の技術とともにたたえ、記録することから制作されたのが駿牛図である。鎌倉時代末期頃、このような風潮が盛り上がったとみえ、平安時代後期以来の名牛の故実を記した『駿牛絵詞』などが著されている。本図はその内容が『駿牛絵詞』とは一致しないので別本であるが、もと10図で1巻をなしていたものの1図である。

 

e国宝 

www.instagram.com

駿牛図巻断簡

www.instagram.com

www.instagram.com

www.instagram.com

平治物語絵巻(六波羅行幸巻)

うし(牛)

牛は哺乳動物中の偶蹄類、反芻類、洞角類、牛族に属する動物で、更に原牛、家畜牛とに区別し、亜細亜家畜牛の祖先は印度のセビウであり、欧洲家畜牛の祖先は原牛であるが今は絶滅したといふ、馬との相異点は蹄が分れ趾骨の第三趾第四趾がよく発達してゐる点である、その先端を蔽ふ蹄が体の支持及歩行に用ひられ、尚此の蹄の後方に副蹄といふ小蹄が二箇垂れる、これは第二趾と第五趾の遺物である、東洋芸術にあらはれたものは、支那では水牛が多く、日本では日本牛が多い、水牛は体、普通の牛よりやゝ大きく、角は非常に長大で扁平、水平に近く拡り、横皺を有する、毛は硬くして短く灰黒色、性水中に入るを好み、雑草を食とする、分布は印度、ビルマ、馬来半島、南支那、小亜細亜埃及土耳古、匈牙利、伊太利に及び、我が国にも、台湾に於て見られるが、これは元南支那より輸入されたものといはれてゐる。

 

『東洋画題綜覧』金井紫雲

www.instagram.com

牧牛図 赤脚子

www.instagram.com

www.instagram.com

www.instagram.com

風雨歸牧 李迪

牧牛図 ぼくぎゅうず

東洋画のジャンルの一つ。唐代,華中,華南の田園風物としての水牛が独立した画題となり,韓滉(723~787) ,その弟子の戴嵩の名手が現れた。宋代でも引続き制作され,南宋画院の李唐,閻次平が著名となり,形式も定まった。楊柳のおかれた水辺を背景に牧童を添えた牧牛図は,宋代写生主義による水牛の毛の微細な描写を特色とした。

 

 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

 

 

牧童 ぼくどう

童子の牛馬(主として牛)を飼ひ使ふことて、詩にも「牧童寒笛倚牛吹」などあり、太平の姿として、和漢共に之を画題とす

 

『画題辞典』斎藤隆

 

 

杜荀鶴「登石壁禪師水閣有作」全唐詩巻二十六

漁父晚船分浦釣   漁夫の晩(ゆふべ)の船は浦を分ちて釣る

牧童寒笛倚牛吹   牧童の寒笛(かんてき)は牛に倚りて吹く

 

日の暮れかけた水面では、釣船がこの浦かの浦とわかれわかれに釣りをしています。いっぽう山路のほうからは、牛飼いの牧童が吹く笛の音がさむざむとひびいてきます。

 

和漢朗詠集 全訳注』 川口久雄 講談社 1982

www.instagram.com

www.instagram.com

雪中帰牧図 李迪

 李迪(?~1174~1199~?)は南宋時代前期の画院画家。画院の最盛期にあたる孝・光・寧宗三朝において活躍し、花鳥・山水・人物各ジャンルを手掛けており、中でも花鳥画を得意とした。この対幅の他に「紅白芙蓉図」対幅が日本に現存し、描写の巧みさは南宋画院画家でも随一と言っても過言ではない。

 画面右下方の土坡に「李迪」の隠し落款がある「騎牛幅(右幅)」は、李迪の画牛に特徴的な丸みを帯びた体軀の牛の上に、雉を吊した棒を手にして寒さに身を縮こまらせる牧夫が描かれている。牛の姿態は北宋・祁序「江山放牧図巻」(北京故宮博物院)の中に見出せることから、南宋における画牛のパターンは既に北宋時代から描かれていたことがわかる。画中人物の姿態は南宋・徐祚「漁釣図」(出光美術館)や南宋・(伝)馬麟「寒江独釣図」(MOA美術館)に見られるような漁夫のそれを想起させ、牧夫と漁夫を重ね合わせることで「帰隠」のメッセージを強めている。牧夫の衣紋線は同時代の画院画家の李嵩に特徴的な釘頭鼠尾描に連なるもので、ゴワゴワした質感の衣の描写や柔らかい牛の毛描等に見受けられる質感描写は当時の画院画家の水準からしても最も優れたレベルに達している。これに対して、「牽牛幅(左幅)」は樹木の間に見える隠し落款の書体も異なり、牛・人物共にプロポーションや描写密度の点で右幅に劣っており、元時代の補作と見なせよう。

 

東山御物の美—足利将軍家の至宝—』三井記念美術館 2014

www.instagram.com

www.instagram.com

www.instagram.com

www.instagram.com

www.instagram.com

www.instagram.com

www.instagram.com

www.instagram.com

www.instagram.com

www.instagram.com

四部録 三祖鑑智禅師信心銘

住鼎州梁山廓庵和尚十牛圖

十牛図

十牛図」は、中国の宋の時代の禅の入門書です。

 絵には、それぞれ漢文の「序(じょ)」と漢詩の「頌(じゅ)」がつけられ、禅の考えや絵の説明が書かれています。漢詩(頌)は廓庵師遠(かくあんしおん)禅師が作り、序は弟子の慈遠(じおん)禅師がのちに付けました。

 「十牛図」には、一頭の牛が登場します。牛は普段はおとなしく、物静かでありながら、あばれると非常に強く、手がつけられなくなります。その姿はまるで、人間の心の様子に似ています。

 自分の牛を探し求める、つまり自分の本当の心を探すところから、物語は始まります。

 

寶樹山 萬福寺

 

 

じゅうぎゅうず【十牛図

中国,宋代の禅文献の一つ。修行と悟りの過程を,連結する10枚の絵と偈頌,および短い文によって示す。いくつかの異本があり,枚数もまた10枚に限らないが,その中心は,本来の自己をあらわす牛と,これを飼いならす牧人にたとえて,最後に牛も人もともに姿を消すところを,一円相によって表す普明禅師の作と,すべての絵を当初より円相の中に描いて,手元から逃げた牛を探し出し,ともに家に帰りつき,人牛ともに姿を消した所より,さらに再び,花開き水が流れる自然と,街角で語る聖俗2人の男を描く鼎州梁山廓庵禅師の作品との2系統があって,後者は宋代公案禅の発展とともに,とくに日本で流行し,禅の芸術の新しい根拠となった。

 

『世界大百科事典 第二版』平凡社