乙女・少女 おとめ・をとめ【源氏物語 第二十一帖】

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源氏物語画帖 乙女 土佐派

第七章 光る源氏の物語 六条院造営 第六段 九月、中宮と紫の上和歌を贈答

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源氏物語絵色紙帖 乙女 詞近衛信尹 土佐光吉

風うち吹きたる夕暮に御箱の蓋に色々の花紅葉をこき混ぜてこなたにたてまつらせたまへり

第七章 光る源氏の物語 六条院造営 第六段 九月、中宮と紫の上和歌を贈答

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乙女 土佐光信

心から春まつ園はわが宿の紅葉を風のつてにだに見よ

第七章 光る源氏の物語 六条院造営 第六段 九月、中宮と紫の上和歌を贈答

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源氏物語画帖

をとめ(乙女・少女)

源氏物語の一巻に乙女あり。加茂臨時の祭とて毎年十一月頃、二十歳以内の少女を揃えて天人姿となし、舞はしむること習なり。源氏が乳母是光が娘も之に出づるを源氏見玉いて若き折乙女にくちし人と契りし昔思い出て、

乙女子が神さひぬらん天津袖ふるよのともよいくよへぬらん

とありしとなり。是光が娘は大内に召され、頭内侍と名を玉わる、之に夕桐の大将恋い忍び、子さえ出来たりとなり

 

『画題辞典』斎藤隆

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源氏物語図屏風

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源氏物語図屏風

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げんじ五十四まいのうち 第二十一番 乙女 西村重長

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源氏香の図 乙女 豊国

乙女子も神さびぬらし天つ袖古き世の友よはひ経ぬれば

 

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絵入源氏物語 早稲田大学図書館

第二章 夕霧の物語 光る源氏の子息教育の物語

第三段 響宴と詩作の会

式が終わって退出しようとする博士と詩人をまた源氏はとどめて詩を作ることにした。高官や殿上役人もそのほうの才のある人は皆残したのである。博士たちは律の詩、源氏その他の人は絶句を作るのであった。おもしろい題を文章博士もんじょうはかせが選んだ。短夜のころであったから、夜がすっかり明けてから詩は講ぜられた。左中弁さちゅうべんが講師の役をしたのである。きれいな男の左中弁が重々しい神さびた調子で詩を読み上げるのが感じよく思われた。この人はことに深い学殖のある博士なのである。こうした大貴族の家に生まれて、栄華に戯れてもいるはずの人が蛍雪けいせつの苦を積んで学問を志すということをいろいろのたとえを借りて讃美さんびした作は句ごとにおもしろかった。支那しなの人に見せて批評をさせてみたいほどの詩ばかりであると言われた。源氏のはむろん傑作であった。子を思う親の情がよく現われているといって、列席者は皆涙をこぼしながらした。

 

紫式部 與謝野晶子訳 源氏物語 乙女

 

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絵入源氏物語 早稲田大学図書館

第六章 夕霧の物語 五節舞姫への恋

第三段 宮中における五節の儀

浅葱あさぎほうを着て行くことがいやで、若君は御所へ行くこともしなかったが、五節を機会に、好みの色の直衣のうしを着て宮中へ出入りすることを若君は許されたので、その夜から御所へも行った。まだ小柄な美少年は、若公達わかきんだちらしく御所の中を遊びまわっていた。帝をはじめとしてこの人をお愛しになる方が多く、ほかには類もないような御恩寵おんちょうを若君は身に負っているのであった。
 五節の舞い姫がそろって御所へはいる儀式には、どの舞い姫も盛装を凝らしていたが、美しい点では源氏のと、大納言の舞い姫がすぐれていると若い役人たちはほめた。実際二人ともきれいであったが、ゆったりとした美しさはやはり源氏の舞い姫がすぐれていて、大納言のほうのは及ばなかったようである。きれいで、現代的で、五節の舞い姫などというもののようでないつくりにした感じよさがこうほめられるわけであった。例年の舞い姫よりも少し大きくて前から期待されていたのにそむかない五節の舞い姫たちであった。

 

紫式部 與謝野晶子訳 源氏物語 乙女

 

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絵入源氏物語 早稲田大学図書館

第七章 光る源氏の物語 六条院造営

第四段 秋八月に六条院完成

 八月に六条院の造営が終わって、二条の院から源氏は移転することになった。南西は中宮の旧邸のあった所であるから、そこは宮のお住居すまいになるはずである。南の東は源氏の住む所である。北東の一帯は東の院の花散里、西北は明石あかし夫人と決めて作られてあった。もとからあった池や築山つきやまも都合の悪いのはこわして、水の姿、山の趣も改めて、さまざまに住み主の希望を入れた庭園が作られたのである。南の東は山が高くて、春の花の木が無数に植えられてあった。池がことに自然にできていて、近い植え込みの所には、五葉ごよう、紅梅、桜、ふじ山吹やまぶき躑躅いわつつじなどを主にして、その中に秋の草木がむらむらに混ぜてある。

 

紫式部 與謝野晶子訳 源氏物語 乙女

 

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絵入源氏物語 早稲田大学図書館

第七章 光る源氏の物語 六条院造営

第四段 秋八月に六条院完成

中宮のお住居すまいの町はもとの築山に、美しく染む紅葉もみじを植え加えて、泉の音の澄んで遠く響くような工作がされ、流れがきれいな音を立てるような石が水中に添えられた。滝を落として、奥には秋の草野が続けられてある。ちょうどその季節であったから、嵯峨さがの大井の野の美観がこのために軽蔑けいべつされてしまいそうである。

 

紫式部 與謝野晶子訳 源氏物語 乙女

 

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絵入源氏物語 早稲田大学図書館

第七章 光る源氏の物語 六条院造営

第四段 秋八月に六条院完成

北の東は涼しい泉があって、ここは夏の庭になっていた。座敷の前の庭には呉竹くれたけがたくさん植えてある。下風の涼しさが思われる。大木の森のような木が深く奥にはあって、田舎いなからしい花垣はながきなどがわざと作られていた。昔の思われる花橘はなたちばな撫子なでしこ薔薇そうび木丹くたになどの草木を植えた中に春秋のものも配してあった。

 

紫式部 與謝野晶子訳 源氏物語 乙女

 

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絵入源氏物語 早稲田大学図書館

第七章 光る源氏の物語 六条院造営

第四段 秋八月に六条院完成

東向いた所は特に馬場殿になっていた。庭にはらちが結ばれて、五月の遊び場所ができているのである。菖蒲しょうぶが茂らせてあって、向かいのうまやには名馬ばかりが飼われていた。

 

紫式部 與謝野晶子訳 源氏物語 乙女