鶯 うぐいす・うぐひす
鶯白梅図 酒井抱一
うぐひす(鶯)
鶯は鶯科に属する小禽で、古木法華経の鳴声を以て聞え籠鳥の第一位を占めてゐる、羽色は所謂鶯色で、顔に灰色の不鮮明な眉斑があり翼の風切羽と尾羽は褐色だが其の外縁は帯褐鶯色を呈し、尾羽は十枚、下面は灰白色、胸脇、下尾筒は橄欖色を帯びてゐる、我が国特有の種類で樺太を除き全国に分布し、夏季山地に蕃殖し秋冬の候平野に出現する。(日本動物図鑑)
梅の咲く頃は、鶯の人里に現はれる季節なので、梅に鴬は古来好画題として行はれてゐる異名別名等極めて多い。 黄鶯、黄鳥、黄袍、黄鸝、倉庚、鶬鶊、楚雀、博黍、春鳥、惜春鳥、報春鳥、伝春鳥、黄伯労、金衣鳥、金衣公子、江樹歌童、紫鶺鴒、経読鳥、人来鳥、春告鳥、其他数名ある。
『東洋画題綜覧』金井紫雲
「梅に鶯」の組合せは日本の伝統的な詩歌や画にしばしばみられ、また物事の組合せが適切なことのたとえに使われる。この語がみられるのは、漢詩集『懐風藻』(751)以降のことで、それまでは「竹に鶯」が普通であった。梅も、もとは日本に自然分布せず、飛鳥時代に中国から持ち込まれたものであり、『懐風藻』の「梅と鶯」の詩も中国の詩が下敷きになっている。
梅竹に鶯図 鈴木其一
山雀 紀定丸(きのさだまる)
君は床をもぬけのくるみわればかりちからおとしの恋の山がら
鶯 則有遊(のりのゆうゆう)
のきちかくほほうとつくる一声は 我恋中をみたかうぐひす
男踏歌 鶯の餌すり 喜多川歌麿
風流小鳥合 鶯 喜多川歌麿
梅の木で鳴く鶯を眺める美人 鈴木春信
風俗四季哥仙 竹間鶯 鈴木春信
窓ちかき竹のは風も春めきて千代の声あるやとのうくいす 玉葉集
鶯売 鈴木春信
哀など後たに見へぬむら鳥の空にうき名の立まとふらん