源氏物語 げんじものがたり 第二部(三十四帖から四十一帖)

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若菜上 源氏物語絵巻 伝海北友雪

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げんじものがたり(源氏物語

源氏物語は日本文学の圧巻にして、光源氏という架空の貴族を主人公として、当時の淫猥なる上流社会の世相を写し、夫れに作者の理想をも加えし小説なり。作者につきては種種の説あれども、紫式部日記にも式部自ら書ける由見えたれば、紫式部の作なるべし。式部は一条天皇の后上東門院(藤原道長女)に奉仕せし女房なり。かの栄花物語「浦々のわかれ」の巻に、藤原伊周の左遷を写して、「かの光源氏もかくやありけんと見奉る」とあるは、長徳二年四月(一条帝朝)の事なれば、本書は此の以前に成りて、此の頃既に世に流布せしことを知る可し。全篇五十四帖より成り、各帖名は巻中の歌句又は詞句を取り、或は全く両者にも関係なき事を名とせしもあり。其結構は前後二篇に分れ、前四十一帖は光源氏の生立より薨去までの記事にして、光源氏を主人公とし之れに紫上を始め種種の貴賎男女を点出して性情の相違を描写し、次の三帖は後篇に移る連鎖にして最後の十帖は宇治十帖と称せられ、源氏の子薫中将及匂兵部卿宮を主人公として之れに大君小君浮舟を配す。前篇の人物結構華やかに賑わしきに反し、是れはいと沈欝にして物淋しき趣あり。文体又相違の点多く、因て式部の女大貳三位の作なりと称せらるゝも、式部の故意に作意を変えて書きしものなるべし。「雲隠」の巻は名のみあって文章なし。これ亦種々の説あるも故意に名のみに止めて源氏の薨去を暗にほのめかせしものなるべし。

 

『画題辞典』斎藤隆

 

 

第2部「若菜上」~「幻」

ところが第2部に入ると、物語の世界の基調は暗転し、朱雀院の重い病から語り起こされる。院は出家を願うが、すでに母女御に先だたれている内親王女三の宮(おんなさんのみや)の将来が憂慮されるので日夜思案に迷っていた。婿選びに苦慮したすえ、結局源氏にゆだねることによって出家することができたが、しかし女三の宮の源氏への降嫁によって、源氏と紫の上との年来の信頼関係を軸として保たれてきた六条院の調和が崩れ始める。もっとも源氏の世間的栄華は従前と変わりなく、むしろ増さるものであったといえよう。そして紫の上に養育されて東宮妃となった明石の姫君に男子が誕生し、この男子が将来帝位に上るであろうことも確実ゆえ、源氏の家門の末長い繁栄は約束されている。もとより誇り高く賢明な紫の上は、その知恵をもって六条院世界の秩序・調和の維持に努めたが、ついには心労のため病を得、六条院を去って二条院で養生する身となる。その紫の上の看病に源氏が余念のないころ、女三の宮は、かねてより彼女に思慕を寄せていた柏木(かしわぎ)に迫られ、身を許して身ごもった。この真相を知った源氏は、この事態を、かつて父院を裏切って藤壺と密通した罪の報いとして受容するほかない。女三の宮は罪の子薫を生んでまもなく出家し、柏木は犯した罪の重みに堪えられず病み臥していたが、源氏の長男夕霧に後事を託して世を去った。夕霧は柏木の遺族をいたわるうちに、残された妻落葉の宮への同情はやがて恋慕に変じて、一方的に思いを遂げた。そのために夕霧と正妻雲居雁との仲も険悪化するに至る。こうして源氏の身辺には数々の不幸な事態が生起するが、そのなかで病状の悪化した紫の上は、源氏51歳の年に死去した。源氏は紫の上を追慕しわが生涯を顧みながら1年を過ごし、出家への心用意を整えた。こうして第2部は、源氏の無類の栄華が崩落していく過程が、さながら必然的な姿で語られている。現世の富も名声も、そして愛も絶対ではないのである

 

日本大百科全書(ニッポニカ)

 

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